第33回 全国子どもとことば研究集会
【小講演2】
17日(土)15:15〜16:30

「子どものことばに耳を傾ける、
それが保育の は・じ・ま・り」

子どもとことば研究会代表・元立教女学院短期大学教授
今井 和子(いまい かずこ)


概要

 まず、今日の子どもたちのことばをめぐる課題として、ふたつの事柄について話しました。

 一つ目は、現代社会は難聴の時代・聴く力の弱さが浮き彫りになっていること。子どもたちからよく「何でお口は一つなのに耳は二つあるの?」と聞かれることがあります。「おしゃべりする2倍だけ人の話に耳を傾けましょう」という意味合いであることを伝えます。
 今聞く力を阻んでいるもの、その重要な事柄が、0,1,2歳児期からの“ことばにならないことば・ことば以前のことば”を聞き取られる経験をしてもらえなかった子が、他の人のことばを聞くことが困難になるのではないでしょうか。子どもたちの聞く力は、聞き上手な大人によって育つのだと思います。

 二つ目は、日本は、親子の会話や対話が極めて少なくなっていることです。会話や対話は、ことばの共同行為がもたらす共同的思考。子どもたちは会話や対話をしながら生活に根ざした意味を形成していきます。
 研究集会ではこの二つの事柄について「子どものことばを聴くことで見えて来た私の保育実践」もとに具体化してみました。 (今井和子)


参加者の感想から

事例を聴く中で、その子ども達の心の動きが目の前に見えるような気持ちで聞いていました。子ども達が一生懸命に生きているのを感じ、涙が出ました。「ゆとりがなくなると共感性が乏しくなる」という言葉が刺さりました。

日々の保育のなかで腑に落ちた部分が多くありました。言葉なき言葉を目で見て、耳で聞いて、考えて、保育を行なっていかないといかなければと改めて思いました。おしゃべりする二倍分、聞く必要があるという言葉、目から鱗でした。

現代は電子機器が普及していて会話が減っていることがわかった。友だちや大人に玩具などを投げるのには言葉で言えない気持ちを伝える場合もあることがわかった。

対話することの大切さや、つもり行動をすぐ否定するのではなく、なぜその行為になるのかを考えることの意味を改めて見直したいと思った。