第33回 全国子どもとことば研究集会
【小講演1とグループ討議】
17日(土)13:00〜15:00

「保育の自由を考える」
〜 子どものことばに学びながら 〜

白梅学園大学学長
近藤 幹生(こんどう みきお)


概要

一番大事だと思うのは、保育の自由です。保育は、子どもと保育者とともに創造する、親や地域の方々とも、手をとりあい創る営みです。実践をかさねるなかで「もっとこうしておけばよかった」という反省や「次はここを工夫してみよう」という議論もあります。話し合いや研修をかさね、保育実践を振り返ります。一人ひとりの保育者は、保育に責任をもち判断しすすめます。保育の過程において、保育をする自由を大事に考えてほしいのです。

 ところが、「XXを計画に書かなければいけない」「△△の遊びはしてはいけない」などの傾向をとても心配しています。2015年度に新制度、2018年度より新指針が施行されています。子どもの立場から考え、園で大事にしていることを確認し、すすめてきた保育に自信をもってください。制度や指針が変わるたびに、大事な理念や方針がコロコロかわったら、どうでしょうか。新制度は複雑で、保育施設も多様化しています。でも、どの保育施設にも子どもがいて保育が実践されています。保育の量的拡大が追求され、保育の質が後まわしでは困ります。新指針を手元に引き寄せて、自由に議論をしてほしいのです。主な論点は、全体的な計画、乳児保育の重視、養護と教育の一体的展開、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、健康や安全、子育て支援、国旗・国歌の記載などです。

 保育の自由を豊かに発展させるには、目の前の子どものことば、表情をつかむことです。どのようにとらえるかは、『子どものことば〜心の育ちを見つめる〜』(子どもとことば研究会編集、小学館)を活用してください。2016年、児童福祉法の改正ではじめて盛り込まれた「児童の権利に関する条約」(子どもの権利条約、1989年国連、日本は1994年批准)を学んでください。子どもの権利条約に基づく保育実践のあり方が、これから問われていくでしょう。子どものことばや表情の豊かさ、願いに耳をかたむけ、自由に保育を創造することが大事なことなのです。 (近藤幹生)


参加者の感想から

「自由って何??」グループ討議がとてもためになりました。園として何を大切にしたいか、何が大切でこの保育をしているのかを話し合う。子どもの姿、ことばを中心に職員同士、早く語りあいたい!と思いました。

保育指針はあくまでも指針であり、その園でどう保育していくか、それぞれの先生方が話し合いをして見通しを立て保育していく必要があり、また保護者との信頼関係を築くことが大切だなと改めて感じた。

他の園の先生方とのグループ討議で、新たな保育についての視点や保育園の現状を知ることができた。近藤先生の話も、今後学びを深めたり、園の諸職員集団の在り方についても考えを改めていく良い機会となりました。

自由であっていいのだというような自信を持つことが出来た。この保育で良いのかという不安より、こんな時はこうしようという自信を増やしていきたい。