第32回 全国子どもとことば研究集会
【分科会1】
19日(日)9:30〜16:00

「自然観察と絵本をたのしむ

助言者/

松岡 達英(絵本作家)

世話人/

市川 美代子(児童図書館研究会・科学読物研究会)
斎藤 和子(保育者)
末永 優海(保育者)


概要

 参加者17名。自己紹介からはじまりました。
 午前中、絵本作家の松岡達英さんは、子ども時代にこだわったこと、絵本作家になるまでと、なるきっかけを、作品にそって話してくださいました。
 少年時代は何もない時代で、友達の持っているものが欲しくて、欲しいものを記録して描く習慣がついた。それがいつの間にか細密描写に変わっていった。小学生の頃、ダーウインと同時期に進化論を考え、実際に自分の足で昆虫を探して、金持ちに売る、昆虫採集の仕事をしたアルフレッド・ウォーレスの探検記に出合って、憧れて育った。
 イラストレーターをめざして、ある時グループ展で、自然を描いたポスターを描いたところ、北隆館の編集者に見出された。『月夜のかりうど』は、自然科学の絵本はほとんどなかったので、グラフィックデザインで描いた作品である。(25〜6歳の頃、1969) 科学読物が他に無かったので、売れて、世界探検旅行に出かけた。『ジャングル』など。
 50歳ぐらいになった時、もう一度生まれ育った自然を見直そうと長岡に戻って、川口町にアトリエをつくって、暮らしながら絵本をつくった。『野あそびずかん』。『ぼくらはいけのカエル』は、田んぼが池になった溜池があり、水深が浅くて、トンボの観察がしやすいことから生まれた作品。『だんごむしそらをとぶ』は油絵の手法で描いている。『ぴよーん』は、米国に取材に行っての帰りの飛行機の中で、エアポケットに入って飛び上がったときに思いついた作品。100万部ヒットした原因は、赤ちゃんとアイコンタクトができたことにある。

 午後は、松岡達英さんの案内で、野外に自然観察の散策に出かけ、会場に戻って、描きたいものをスケッチして、色をつけました。「自然はうらぎらない、自然を知ることは、人生を豊かにする、自分を助けてくれる」ということばが、心に残りました。


参加者の感想から

本当に素晴らしい分科会でした。お話を伺うだけでなくいっしょに観察散策もできたこと、これからの人生が確実に変わりそうです。感謝です。お話も素敵でした。知識を得たことで、故郷の風景が輝いて見えるようになったとのこと。知識を身につけたいです。

松岡先生の少年時代にこだわったことから、イラストレーターをめざし絵本作家になるまでの道筋を、作品に沿ってお話しいただけてよかった。 また、自然観察の散策に出かけ、スケッチできたことはとても楽しかった。

生き物の生態をよく見ていなかったと痛感いたしました。これから子どもたちと虫を見つけた時、よく観察して、毎日コツコツスケッチの練習をしたいと思いました。